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猛暑襲来2006

扇風機を買った。考えるのはもとより、書くだけでも暑苦しさが倍増するような気がして、いままで暑さについては一言も書かなかったが、実は、途方もない猛暑のベルリンである。

 

ヨーロッパ、特に北ヨーロッパの夏は、だいたい6月から7月にかけて、猛烈に暑い日が10日くらい続いて、あとは、潮が引くように涼しくなってしまうので、個人で、家に冷房を入れている人は少ない・・・、というのは、10年位前の話で、ここ10年くらいの間は、温暖化を肌で感じるように、ありえない猛暑が、数年おきにヨーロッパを襲ってくる。家庭用の冷房器具も、店頭に並ぶようになった。

 

今年は、冬が長くて、やっと暖かくなってきたのが、5月の半ば過ぎた頃だったけれど、それから、どんどんどんどん暑くなって、ワールドカップの初めの頃から、ずっと最高気温35度というような日が続いている。ワールドカップ中のドイツの印象よくするために、もしかして、ドイツ空軍が上空で、何か「晴れ細工」をしているんじゃないの?、なんていう冗談が出たほどだったけれど、ワールドカップが終わっても、ずっと暑い。

 

先週、ベルリンでは、38.5度を記録した。ベルリンは、緯度52.5度。北海道の網走から、さらに日本の長さ半分くらい北へ行ったよりも、さらにもうすこし北、という場所である。そこで、気温が38.5度・・・ありえない。日本の猛暑は、「蒸し風呂の中にいるよう」というのが、まさにぴったりな表現だけれど、こちらは、湿気がないので、「オーブンの中にいるよう」である。特に日中、ひなたに出ると、もう暑いというよりは、熱い、という文字のほうが、ぴったりくる。

 

ベルリンには、在住のトルコ人もたくさん住んでいて、敬虔なイスラム教徒のトルコ人女性は、人前で肌を出すことはできないから、この猛暑の中でも、長袖に長いスカートの衣装に、頭にはスカーフをかぶっている。先週、ベルリンのトルコ人地区といわれる、ノイケルンというエリアにある、屋外の市民プールに行った学生は、子供づれのトルコ人ママの集団が、その長い長い衣装のまま、プールの中に入り、ぬれた服を着たペンギンのごとく、プールから上がってきて、プールの周辺を歩いているのを見た、と言っていた。普通は、子供をプールで遊ばせて、ママたちは、木陰に座っておしゃべりをしているのだけれど、それどころではないくらい、暑かったのだ。「えーい、このまま入ってしまえ」、と一人のお母さんが、異例の行動に出たに違いない。そして、ならば、私も、私も、と、いうことになったのだろう。気持ちはとてもよくわかる。

 

ちなみに、本当に暑いときは、ぬらしたTシャツを着ているのが、一番効く、というのは、イタリアの冷房なし猛暑生活で、得た知恵だ。とにかく、このぬれTシャツを着て、扇風機をまわしたら、体から熱を奪ってくれること、その右に出るものはなく、これが一番自然に涼しい。ぬれTシャツで、打ち合わせや外に出るわけには行かないけれど、家の中では、よくこの方法で、イタリアの猛暑をしのいだ。Tシャツ一枚で、それが乾くまでの1時間くらいは、涼しかったのだから、全衣装ずぶぬれを着ていたら、3時間くらいは涼しいかもしれない。こんな猛暑が毎年続くようになれば、衣装のままざぶん、というのも、病み付きになって、プールサイドのぬれたペンギンママたちは、ベルリンの夏の風物詩になるかもしれない。

 

直射日光は苦手だけれど、温度だけの問題なら、私は、暑さにも、寒さにも、割と強い。7年前くらいの、室内温度が夜中でも34度、日中最高気温42度、というのが、1ヶ月以上も続いたイタリアの猛暑も、ぬれTシャツと扇風機、それでだめなら、水風呂、氷枕、というプリミティヴな対策で、涼しい顔をしてこなしてしまったし、この3月は、海も滝も凍る、マイナス15度のエストニアで、野外ワークショップ、フィールドリサーチをやったけれど、それも大丈夫だった。

 

そういうどこでも適応型の体質だからか、夏は、冷房が入っているところへ行くと、一瞬は、ああ助かる、と思うけれど、あまり長くいると、かえって具合が悪くなるし、冷房について、あまり体にいい話は聞かないから、少なくともヨーロッパにいる間は、家に冷房を入れようとは思わない。でも、イタリアで使っていた扇風機は、北ヨーロッパのベルリンで必要になるとは、よもや思わなかったので、引越しの時に、近所の一人暮らしのおばあさんにあげてしまったし、今日も最高気温予想は36度という、雲ひとつない青空で一日が始まったので、もう遅いかもしれないけれど、やっぱり扇風機くらいは、ほしくなった。

 

大学の学年末の展覧会は、昨日23日の日曜で、やっと終了。今日から、やっと自分の時間なので、今朝は朝一番で、開店早々のデパートに行き、扇風機を買った。山のように箱が積んであったと思われる扇風機売り場の、最後の一台だった。

 

背の高いスタンド型の大きな扇風機が、たったの24ユーロ、3000円くらい。単純に回るだけの機械とはいえ、なんだか安い。買った扇風機は、ドイツの家電の老舗 SEVERIN というメーカーのものだった。一般的に、ヨーロッパは家電メーカーが日本ほどひしめいているわけではないから、競争は少なく、日本に比べて家電の値段は高いのが、相場だったけれど、中国、韓国のメーカーのものとの競争が始まってからは、ドイツのメーカーも殿様商売をしているわけにはいかなくなってきたのかもしれない。ドイツ最大の家電のフェアにおいて、フェア出展の6割を、アジアの自社ブランドが占め始めている、という話を数年前に聞いたが、店頭でも、その影響を感じることができるということか。解説書は、ロシア語も含めて、ヨーロッパ13ヶ国語の言語で、書いてあった。

 

早速組み立てて、まわすと、やっぱり快適である。そして、こうして、扇風機を回してみると、のど元過ぎて、忘れかけていたけれど、やっぱりイタリアの夏のほうが暑かったかな、と思う。

 

思えば、この数年のミラノの夏は、1.5Lのペットボトルに水を入れたのを凍らせて、それを凍り枕にして抱えていないと眠れないほどの、熱帯夜が続いていた。ベルリンでは、日中は暑くても、夜は、普通に眠れる。

 

 

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阿部雅世公式サイト MasayoAve creation  www.macreation.org

 

 

 

 


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kiyo

こんにちは、はじめまして!こちらStuttgartも窯の中ですよ。外気温度計が40度を指すのを見てただただ力無くうすら笑うしかない今日この頃です。ただ治安が良いからか、窓全開で就寝してもあまり気にならないのが救いです。イタリアなどではそうもいかないのでしょうか?よい夏をお過ごし下さいね。
by kiyo (2006-07-28 00:40) 

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